生態系を守る意外な生き物

皆さんこんにちは。

春ですね、暖かくなり桜も全国で満開の予報。

お花見をされた方も沢山いると思います。

私は今年から花粉症が悪化し、マスクが必需品となってしまいました。

さて、そんな今日この頃ですが、春とは全然関係ない話をします。


「ハリガネムシ」って知っていますか?

ハリガネムシは寄生虫の一種でカマキリやカマドウマなどに寄生するんです。

見た目は名前の通り針金みたいに長くウネウネしていてちょっと気持ち悪いです。

(なので画像は控えますね。)

そして驚くことにハリガネムシは寄生した昆虫を操ることができます。

すごいですよね。それだけでもすごいのですが、

このハリガネムシと生態系がどのように関係しているのでしょうか?


そもそも自然とは生態系の元に成り立っているということはご存知だと思います。

微生物が分解した栄養で草木が育ち、その草木を食べて昆虫や草食動物が成長し、

その昆虫や動物を肉食動物などが獲物にする。その後死んだ動物が微生物により分解されることで草木の栄養となる。

このサイクルを繰り返し自然は成り立っているんですね。


このサイクルにハリガネムシがどう関係しているのでしょうか?

鳥に食べられる?他の昆虫のエサになる?。

違うんです。(それもあるかもしれませんが)


先程も言いました「昆虫を操る」ここにポイントがあるんです。


そもそもハリガネムシは水中に卵を産み、水中で生まれます。

水中で産まれたハリガネムシの幼虫は水生昆虫(カゲロウやユスリカの幼虫)に一度食べられます。

しかし、ハリガネムシの幼虫は食べられても死なず、そのまま取り込まれた昆虫の体内で生き続けます。ハリガネムシを取り込ん水生昆虫はそのまま成長し、陸へと飛び立っていきます。


しかし、陸へと飛びだって行った昆虫に待ち構えている天敵がいます。

それがカマキリやカマドウマなのです。


ここでカマキリやカマドウマがハリガネムシを取り込んだ昆虫を食べることになります。

この時、ハリガネムシの寄生が完成するのです。


ここでハリガネムシの「昆虫を操る」能力が発揮されます。

操られた昆虫はなんと、水に飛び込みたくなってしまいます。

水に飛び込んだ昆虫は当然死んでしまいますが、ハリガネムシは寄生した昆虫のお尻から逃げ出します。

逃げ出したハリガネムシは、川で交尾や産卵をして生涯を終えます。


以上がハリガネムシの驚くべき一生です。


・・・これがどう生態系に関係しているかって?

ここから注目するのは、なんと操られて水中に飛び込んだ可哀想な昆虫達なのです。

水に飛び込んで死んでしまった昆虫を、その川に生息する魚が食べるのです。

これがハリガネムシが生態系を守っている大きなポイントになるんです!


もしハリガネムシによって操られて川に飛び込む虫がいなかったらどうなるか・・・

その川に住む魚たちは水生昆虫を捕食するようになってしまいます。

水生昆虫はハリガネムシの幼虫の他に、川に落ちてくる葉っぱや藻を食べてくれます。

そんな役割を持つ水生昆虫が魚に食べられて減ってしまったら?

川の落ち葉の分解は遅れ、藻が増えてしまいますよね。

そうなると川の水を飲む動物が減るかもしれませんし、川に生息する生き物もガラっと変わってしまう可能性も出てきます。


見た目は気持ち悪くて、人間からは嫌われがちなハリガネムシ。

実は私達の知らない森の中で、自然を守る役目を果たしていたんですね。

『寄生虫が森を守る』

こんな不思議な事が自然界では起きているのです。

操られて不意の死を遂げてしまった昆虫たちは可哀想な気もしますが・・・・

一見役に立っていないように見える生き物も、自然には欠かすことができない存在なんです。


皆さんも山や森、公園でも沢山の自然と触れ合う機会があると思います。

その場所で、軽い気持ちで虫を踏んづけてみたり、花をむしったり・・・・

ちょっとしたことで、大きく自然を変えてしまうかもしれません。

すべての生き物に役割があることをこのハリガネムシの話で感じてもらえたらいいなと思い、紹介させていただきました。

(このハリガネムシの話は調べてみるともっと詳しく勉強できるサイトが沢山あります。今回は紹介なので簡単に書きましたが、自然の面白い話を自分で調べてみるのもいいですよ♪)


また自然の面白い話があればここでお伝えしていきたいと思います。



Hamayou Sanctuary Project

クニマスの生息する湖「西湖」 その素晴らしい環境を未来へ

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